「薔薇と蒸留」薔薇の花束をカクテル化 memento mori(虎ノ門)

E.F.Lab.

創造的であたらしい花食体験を創造するE.F.Lab(エディブルフラワー研究所)。第一線のクリエイターと協働することで、花食ならではの「未体験」を生み出すことに取り組んでいます。

あなたは食用花の「用途」に何を思い浮かべますか?
それは、「飾り」ではないでしょうか?

これはあくまでも「食べられる」という半ば妥協を伴う体験で、感動を伴う「味わえる」とは乖離しています。

そのため、食べられる花屋を営むエディブルフラワー研究所では、花という素材のポテンシャルを最大限に引き出した「飾り以外」の創造性を求めました。

そこで、私たちが門戸を叩いたのは、ミクソロジスト南雲主于三氏のBAR「memento mori」。

世界のBARシーンで腕をふるう南雲主于三氏の独創的なアイディアから生まれたのは、まるで薔薇の花束に顔をうずめたかような鮮烈な香りを感じる「薔薇のスピリッツ」でした。

今回は、薔薇のポテンシャルが最大限に発揮された「薔薇のスピリッツ」について、同氏にご解説いただきます。

7種類以上の生バラを蒸留
複層的な薔薇の香りが口内で爆発する体験へ

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南雲氏の解説1

「薔薇の香りは千差万別である。大きく分けて10種類の香調に分別されている。

①ダマスクスイート
②フルーティ&フローラル
③スパイシー
④ハーバルグリーン
⑤ウッディ&ハニー
⑥ティー&バイオレット
⑦フレッシュグリーン
⑧ティーフェノリック
⑨ミルラ
⑩ロージーワックス

今回は10種類以上の食用バラを用意してもらった。主に①、②、④、⑦、⑧の香りがよく感じられる。この多種多様な香りの集合体こそが薔薇であり、単一の香りだけでは薔薇の特徴を十二分に表現しているとは言えないと思う。そこで、フレッシュで複層的な薔薇の香りを閉じ込めたお酒を造るために試行錯誤し、何とか完成まで持って行く事ができた。」

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南雲氏の解説2

「まずは、フレッシュの薔薇の花弁を丁寧にばらしていく。そして、-196度の液体窒素で薔薇を冷凍粉砕する。こうすることによって薔薇の質量は変えずに、体積だけぐっと小さく出来る。薔薇の花びらはふわふわしていて、大量に使うにはどうしてもこのふくらみをどうにかしないといけない。ちぎったり、しぼったりすると花びらにストレスを与えるので、香りが劣化する。そのため、その場で急速冷凍して粉砕してあげると酸化を抑えてフレッシュな香りを保ったまま使用することが出来る。」

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南雲氏の解説3

「そして、それを水と合わせて減圧蒸留器にかけて、低い沸点で水蒸気蒸留していく。こうして抽出した薔薇のエキスをフランスの最高級ウォッカであるグレイグースと適量ブレンドすると、薔薇の花束で顔をうずめたような香りの薔薇のスピリッツが完成する。」

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南雲氏の解説4

「そのままストレートで薔薇の複雑かつ華やかな香りと味を楽しんでもらいたい。味わいも食用の薔薇のため、薔薇特有の甘さをしっかり感じる。カクテルは究極のローズマティーニ、洋梨と薔薇のカクテル、苺と薔薇のカクテルなど1年中、あらゆる素材と合わせて楽しめる。ここにしかない、薔薇の花束に顔をうずめたような、別世界の香りを体験して欲しい。」

これまでにないものを創り出す「ミクソロジスト」
トップミクソロジストが創造する食用花の新世界

「ミクソロジー(mixology)」の語源は、混ぜるを意味するmixと、科学・学問を意味する〜ologyを組み合わせた造語。ミクソロジーカクテルを作るバーテンダーのことを「ミクソロジスト(mixologist)」と呼びます。

素材選びから製法まで、カクテル作りの一連の方法を見直し、さまざまなアプローチで新しいカクテルを生み出そうとされています。

そのミクソロジストの第一人者である南雲氏が花と向き合った結果、減圧蒸留器によって様々な薔薇の香りを抽出。その香りを移したウォッカをベースにすることで、これまでの花食体験のイメージを根底から覆してしまうような、革新的な薔薇のカクテルが出来上がりました。

誰も出会ったことのないような、人生において強烈な記憶として残る衝撃的なその香りを、ぜひご体験にいらしてください。

薔薇とアマゾンカカオのマティーニ

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ギフトローズフィズ

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お店の情報

memento mori

東京都港区虎ノ門1丁目17番1 虎ノ門ヒルズ ビジネスタワー 3階
03-6206-6625
Café time 14:00-17:00 ※チャージなし
Bar time 17:00-23:00 ※800円のカバーチャージあり

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南雲主于三(ナグモ シュウゾウ)

1980年11月25日岡山県生まれ。最先端の技術と機材を巧みに操り、既存にない新しいカクテルを生み続けている日本随一のMIXOLOSIST(ミクソロジスト)。1998年池袋Bar X-Marks the spotにてバー業界に入る。都内で大小様々な店舗で勤務後、独立前の一年間と決め2006年7月に単身渡英。ロンドンのメトロポリタンホテル内のNobu Londonで勤務。ヨーロッパをくまなく周り、2007年8月に帰国。2007年11月にXEX東京のヘッドバーテンダー就任。2009年1月にスピリッツ&シェアリング㈱を設立。代表取締役就任。現在は都内Mixology Group5店舗のBarを運営。Mixology Salon(銀座)Mixology Heritage(日比谷)Mixology Akasaka(赤坂)Mixology Spirits Bang(k)(銀座) memento mori(虎ノ門)店舗経営の他に、メーカーのプロモーション企画コンサルティング、大手外資ホテルのメニュー開発、外資酒類大手との商品開発コンサルティング、様々な団体や企業などのパーティへのカクテルメイクのケータリングなどを中心に事業を拡大。アジアを中心に世界中でイベント、カクテルセミナーを行いつつ、国内外と多岐に渡り活躍中。

執筆・監修書籍

【The Art of Advanced cocktail】旭屋出版 著 いしかわあさ子
【Twist Cocktails】旭屋出版 著 いしかわあさ子
【MIXOLOGY COCKTAIL】旭屋出版
【進化するBAR by drink planet】柴田書店
【The Mixology】柴田書店著南雲主于三2019年7月発売